未知なる好奇心への巡礼

Pilgrimages into the unknown curiosity

2009 - 2018

Sculptures of Kan Yasuda

This photographic investigation started in questioning unknown curiosity towards the works of Japanese sculptor Kan Yasuda. 

私は北海道の都市景観に違和感を抱き、心の中で葛藤していた。その大地に根を下ろし、育っているような感覚がほしかった。雪が積もる寒さ厳しい冬、札幌駅西口にある白いドーナツのようなモノを見た時に、そのモノが地面から生えているような感覚を覚えた。後に、北海道出身の彫刻家・安田侃氏による「妙夢」という作品だと知る。 

自分がなぜ好奇心を抱いているのか。未知の状態で、「妙夢」とそこにいる人々が生み出す空間の変容を記録し始めた。好奇心は安田氏の作品全般へと広がり、彫刻がある世界各所を訪れ、様々な場所で彫刻・空間が応え返してくれるまで、私にとってのその時を待った。 

数万枚に及ぶ撮影を経てもまだ、そこには新たな経験がある。時の流れの中で変化する私自身の心が安田氏の彫刻に投影され、未だ見ぬ自己を発見する。巡礼のような外部への旅は、新たな「私」の存在に出会うための内部への旅でもあった。