運河ボートとロンドンタクシーでの知覚
Perceptions on a Canal boat and London black cab

2014

Film installation

02min 40sec

SPEED (Workshop and Exhibition organised by ScanLAB Projects)
@ Wates House, UCL. London

機械は世界をどのように知覚しているだろうか? 人間同様に、機械も外部からの感覚を頼りにし、私たちと同じ空間内を移動する。ここでは、LiDARスキャナーを機械の感覚として用いた。それを速度の異なる乗り物に設置し、そこから得られたデータを元に作品を制作した。

私たちは周辺環境を感覚器官からの刺激として受容し、それらの刺激から、身体の外部に存在するものを知覚する。外的な現象としての空間と内的に心とかかわる時間との形式により、知覚は主観的な経験として認識され、私たちの現実を構成する。知覚された事象に無意識に因果性を適用し、時空間内での自己を位置づける。

LiDARスキャナーは運河ボートとロンドンタクシーのルーフに設置され、それぞれが交差するルートを移動した。運河ボートは比較的一定の速度で市中を移動し、ロンドンタクシーは渋滞や信号などで止まったり動いたりをくりかえす。コピー機の光の上に手をかざし、その動きに合わせて手を移動すると歪められた2D画像が得られるように、ヘリカル方式で取得した3Dデータにはその速度変化が反映される。そこから得られたデータでは、空間での地点と時間の流れが一致しない。

レーザー光を物質面へと照射し、反射時間から距離を測定した点群データ。私たちが空間で知覚する水やガラスのような反射物質面は、屈折作用が影響するためLiDARスキャナーには捉えられない。運河の水面は、ボートの体積が移動することにより波打ち、無作為な物質面を形状する。不規則に屈折した反射光により、水面は現実に位置するよりもはるか彼方にエラーノイズとして現れる。

直線状に折りたたまれたデータをそれぞれの経路がたどった形状に再展開させ、データ空間を浮遊する視点から、機械の世界の可視化を試みた。そこには、私たちには知覚できない、心を惹かれる何かがあった。