Footprints

2022

Site-specific Installation

@ Sapporo Station Underground Passageway 札幌駅前通地下歩行空間

This work was created  as an award-winning project for Sapporo Ekimae Street Award 2022.


札幌駅と大通りを結ぶ地下歩道空間では、そこを通行する人の量や方向の傾向を掴む指標として、人流を示す数値データが記録されている。その記録情報は札幌市のICTプラットフォームで公開されており、チカホ天井部に設置された総計280個の音波式人流センサーにより計測されている。そのセンサーが記録した情報によると、コロナ前の2019年でも1日に約9万人、コロナ禍の2020年においても約7万人と、多くの人々が日々その空間を歩行していることがみてとれる。
  
地下空間における個々の身体を指標とした数字の彼方に、私たちは何を想像するだろうか。経済的な活動への影響を測る数値としての1、目的もなく歩んだ1、バーチャルな世界では成しえない社会活動を実践した痕跡としての1など、蓄積されるその1に、1つとして同じ1はない。もしかすると、あの時にチカホを歩き、今そのチカホ空間で印字された数値をみているあなた自身の存在も、その数字に含まれているかもしれない。日常のいたるところで何気なく目にする数値には、コロナ禍で日々報告される感染者数しかり、愛する人や家族などの存在が刻まれているかもしれない。

私たちの存在が数値として記録され、その数値があなたの目にとまり、数字の向こうに意味が想像される。その数値を見るあなたの眺めが、社会のある1つの慣習的な眺めとして、あなたが属する社会を規定する。ある事象を指標とした対象に、眺めみる各々の主観性が投影されるとすると、客観的にある事象の痕跡をみるということは、どこまで可能なのだろうか? そして、現実での身体性をより意識するようになった現在において、私たちはその足跡をどうみるだろうか。